公開日: 2015年2月20日 更新日: 2024年2月2日
①水性顔料・染料対応用紙の構造とトラブル対策
インクジェットは使っていても、資材についてはほとんど知らないといった方が多くいらっしゃいます。
インクジェットに関するトラブルもほんの少し、資材の構造に関する知識があれば、防げるケースがたくさんあります。
まず最初に水性顔料・染料インクジェットメディアの基本的な構造を申し上げます。
基本的には下の図のように、メディアの構造は非常にシンプルです。
ベースの上にある塗工層(インク受理層)でインクを吸収します。
上から吹き付けるインクを吸収するような層が表面にありますから、断面も必ずインクや水分を吸収しようとします。
その為、ラミネートをしても断面の防水処理(エッジテープ等)をしなければ、断面・周辺から水が入ってきます。
また、塗工層(インク受理層)はベースに圧着されていますが、
クロスなど表面をラミネートで押さえる事ができないメディアを、屋外で使用すると風により、粉が付いたベースを手で揉む事と同じ状態になります。
その結果、ベースから塗工層(インク受理層)が剥がれるという現象が発生します。
従って、水性インクジェットの場合、ほとんどのクロス系メディアを屋外で旗のように使うのは無理があるようです。
(必ず屋外用をご使用ください。)
②出力物の乾燥時間について
出力終了後、ラミネート加工をするまで、充分乾燥時間を取られてください。手で触って、表面が乾いているからといって、すぐにラミネート加工をすると、後で簡単にラミネートが剥げる
場合があります。特にベタ印字が多い場合は要注意です。
1〜2日おいてからラミネート加工をしてください。
またラミネート加工直後は、表面のザラツキの多い
インクジェットメディアの場合、ラミネートフィルムが剥げやすいものもあります。この場合、1日位置いておくとメディアとフィルムの密着性がよくなります。
③ラミネート無しでの屋外使用
レギュラー合成紙などを「ラミネートフィルム無しで、短期間屋外で使えないか」というお問合せをいただく事があります。
ラミネートフィルム無しで屋外で使い雨が降った場合、インクが全て流れ落ちて無くなってしまうという事は起こりませんが、表層部のインクが流れ落ちますので、短時間の雨など、インクが流れきってしまう前に雨が
止むと液ダレのように、インクの滲みが発生します。
このため、弊社ではラミネートフィルム無しでの屋外使用はおすすめしておりません。
(必ず屋外用をご使用ください。)
④糊なし合成紙、布系のメディアについて
糊なし合成紙やクロス等、コシのないメディアをエプソン様のプリンターでお使いになると、用紙がよれてヘッドがぶつかる事があります。
(気温、湿度の影響があり、同じメディアでも発生する時としない時があります。)用紙の入口にあたる金属部分に摩擦の少ないメディア、
弊社では「レギュラー合成紙糊なし」、「ユポ合成紙糊なし」、「ソフトクロス」、「短期屋外用クロス」、「クリーンカットクロス」をエプソン様のプリンターの対応素材とさせていただいております。
⑤クロス生地(ポリエステル素材)のカット方法
クロスを普通のカッターでカットすると、切り口がほつれてしまいます。
ポンジ(ポリエステル)のカットには、ホットナイフをお使いください。
ほつれのない
きれいな仕上がりが可能です。
⑥保存はビニールに入れて(メディア全般)
水性顔料対応のインクジェットメディアは、水分等を吸収する力が優れています。
従って、
そのまま室内に放置しておくと空気中の湿気や、タバコの煙等の
汚れを吸ってしまいます。
資材を保管するときは、必ず梱包されていたビニールに入れ、
できれば箱に入れた状態で保管してください。
⑦貼りこみはドライ貼りで(メディア全般)
インクジェットメディアの貼りこみ作業はドライ貼りが基本です。
水を使うと、エッジ等から水の浸入が起きたり、残った水が後日気泡のように発生します。
インクジェットの場合、全面貼りが多く、水の逃げ場がなくなり、
気泡が発生しやすくなります。
⑧クロスユポのメリット
ユポ合成紙は、引っ張り強度は非常に強いのですが、少しでも裂け目が入ると、
そこから簡単に切れてしまいます。
クロスユポは、裏側に繊維をコーティングする事で、この欠点を補うようになっています。
これによりハトメ加工や、ガンタッカーでの止め加工ができるようになっています。
⑨クロスや重たい資材は要注意!
クロスや重量のあるメディアにベタを出力しようとすると、ムラが発生するのだがというご連絡をいただく事があります。
これはプリンタの用紙送りが安定しないために発生するトラブルで、塩ビや合成紙といったものではそれほど問題にはならないのですが、
素材自体が重たいもの、クロスの様にコシのない素材の場合にこのような問題が発生しやすくなります。
特に、高速プリンタの場合には、用紙送りの量が大きいため、このような問題が発生しやすくなります。
対応策としては、
印字スピードを落として、一回の用紙送りの量を少なくするという事になります。